ジェフユナイテッド市原・千葉レディース vs 日テレ・東京ヴェルディベレーザ

大会:なでしこリーグ1部 第9節

結果:千葉 1-3 日テレ

場所:フクダ電子アリーナ 観衆858


なでしこリーグも終盤戦。ベレーザをホームに迎えた千葉ですが、開始5分に長谷川選手のミドルシュートが山根選手の頭上を超えてゴール。アウェーではベレーザに勝利した千葉ですが、やはりこの試合が面白くなるかは千葉次第。


すると33分、左サイドからのクロスを大滝選手がダイレクトボレーで同点。この試合、ディフェンス面でも貢献度の高かった大滝選手。高い位置でボールを奪い、何度も千葉のショートカウンターに繋げるチャンスメイク。成宮選手とのコンビでベレーザゴールに迫りましたが、もう1、2枚攻撃の厚みが欲しかったところ。


一方、今年のベレーザが苦戦した要因の一つに、戦い方の変化にあるのではないでしょうか。同じ監督とは思えないほど、中央ばかりに偏った攻撃ルート。昨年までのストロングだった両サイドからの推進力はほとんど見られず、密集の中央を強引にこじ開けようとするばかり。時計が逆戻りしたのではなく、進化のための過程と思いたいですが。


それでも国内では突破できてしまう戦力差はあるわけで、62分、68分と、立て続けに中央からの崩しでベレーザが追加点。清水選手、三浦選手を途中投入し、安定感も増した後半のベレーザ。久しぶりに阪口選手のプレーも見る事ができて、なかなか見どころの多かったゲームではありました。


なでしこリーグの結果もだいたい見えて来た今、来シーズンからはいよいよプロリーグが発足。女子スポーツに対して、いまだに男子と比較されることも珍しくないですが、メッシ選手やC・ロナウド選手と比較する事自体ナンセンス。比べるべきはモーガン選手やラピノー選手といった、世界トップレベルの女子選手。


しかしながらこの試合はもちろん、なでしこリーグを見渡しても世界レベルの外国人選手はゼロ。これでどうやって「世界基準」を知ることが出来るのか? VリーグやWリーグ、ソフトボールなどなど、他の女子リーグでは当たり前のように活躍している助っ人外国人選手。昨年の女子ACLでも、ベレーザ相手に一人でぶっちぎった外国人選手がいましたが、あのスピードの選手が一人いるだけでも大違い。


「世界を意識しろ」と言ったところで、周りにそういう選手がいなければ、おのずと「国内基準」になってしまうもの。そこを求めるのは選手ではなく、リーグやクラブ関係者。どれだけ周りが世界レベルの環境を用意できるか。他の女子スポーツに出来て、サッカーだけが出来ない理由はないはず。


モーガン選手など有名どころを連れてこれればベストですが、無名でも南米やアフリカにはお手頃で凄い選手はゴロゴロいるはず。とにかく「変わった」感が求められるWEリーグ。その一つがJリーグ創設期のような華やかさ。なでしこリーグの延長では今のまま。その意味でも初年度のインパクトが最も重要になるのですが、各クラブの「本気度」が試されるのではないでしょうか。


試合採点

ハッスル度 6

見応え度 6.5

名勝負度 6

満足度 6

世界基準度 4