日テレ・ベレーザ vs INAC神戸レオネッサ

大会:なでしこリーグ1部 第16節

結果:日テレ・ベレーザ 2-1 INAC神戸レオネッサ

場所:味の素フィールド西が丘 観衆4496


ハッキリ言ってしまえば、ベレーザというクラブは人気がない。現在リーグ4連覇中で、圧倒的な強さを誇るクラブも集客には苦戦。このことが、なでしこリーグ最大のパラドックス。カップ戦の決勝の観衆が1426人だったように、本来注目を集めるような試合でも客足は伸びない。


なでしこリーグの観客減少の要因が、全てベレーザの責任とは言わないが、チャンピオンチームはそのリーグの「顔」。かつてINAC神戸が人気・実力両方で、リーグを牽引していたように、チャンピオンチームには人気面でも、リーグ全体を引っ張っていって欲しいのです。


「強くないと人気は出ない」が幻想であることを、地で証明している珍しい例。しかしこのことは、選手達が一番危機感を感じていたようで、選手主導で始まった「5000人満員プロジェクト」。2年連続2回目ということで、マスコミに取り上げられることも減り、心配もありましたが、蓋を開ければ4496人の活況ぶり。


今年も5000人には一歩及びませんでしたが、行動を起こしたからこそのこの数字。しかし、プロリーグ化を目指すのならば、これが一過性でなく当たり前にならないと。お金がないなら知恵を絞る。「カメラを止めるな!」精神なのです。


さて、試合は代表で負傷の長谷川選手がベンチスタート。開始3分でINACは、右サイドからのクロスを守屋選手が頭で合わせ先制パンチ。その後もいい形の崩しからチャンスを作るINACに対し、ベレーザの両サイドはなかなか縦突破が見られず、中央寄りの攻撃で停滞気味。


それでも後半に入ってエンジンがかかるのが、ベレーザのお約束。61分に長谷川選手を投入するとその3分後には、右サイドの粘りから籾木選手がゴールを決めて同点。


その後は一進一退の白熱の展開。両チームのチャンスやピンチの場面では、「キャー」という悲鳴のような歓声も。この雰囲気こそが、普段のなでしこリーグでは感じられないモノ。名勝負は選手だけでは作れない。選手・観客が一体となってこそ、初めて白熱の試合が生まれるのだと改めて実感。4000人の後押しによって、植木選手の劇的ゴールが生まれたのも、必然のように感じました。


多くの観客を集めたところで、試合で魅せることが出来なければ逆効果。その意味で、役目を果たしたと言える両チームに拍手。初めてベレーザの試合を見たという人でも、「また見たい」と思った人も多かったのでは? こういう試合を繰り返していくことで、ベレーザが人気・実力ともに、リーグを引っ張っていく存在になっていくのではないでしょうか。


試合採点

ハッスル度 7

見応え度 7

名勝負度 7

満足度 7

役目を果たした度 7