そんな中、スポーツ庁からスタジアムに関する画期的な指針がリリースされました。それが「スタジアム・アリーナ改革指針」。内容を要約すると、スタジアムやアリーナを、「する場所」から「見る場所」に変えていきましょうと言うこと。スタジアムの多くは自治体所有のもの。それだけに、国がこのようなビジョンを打ち出したことは非常に画期的。当たり前のことなのですが、当たり前でなかったのが今までの観戦環境なのです。
スポーツ観戦文化という点では、日本はまだまだ後進国のように僕の目には見えます。それを映し出す鏡がスタジアム。東京オリンピック開催で一番期待されるのは、スポーツを「見る文化」の発展なのではないでしょうか。
歴史も人気もナンバーワンの野球。
しかしスタジアムはマイナー級?
野球観戦で気づくことは、視界を遮る障害物の多さ。見やすさより安全を優先されているため、ネットやフェンス越しに試合を見るはめに。座席間が狭いところも多く、窮屈な思いをすることもしばしば。そんな環境でもプロ野球の動員力は世界的にもトップクラス。しかしその野球人気に甘え、スポーツ界に長年ライバルがいなかったことも、スタジアム環境が変わらなかった要因なのかもしれません。
その中で、広島のマツダスタジアムの登場は、大きな転機となりました。スタジアム自体が観客を呼び、チームを強くすることを証明した野球場。広島に続けと、楽天、横浜なども「ボールパーク」へと変革の途中。日本ハムも新球場の建設が決まり、より良いスタジムへの意識も高まって来ているようです。テレビで野球を見る時代は終わり、ますますスタジムの重要性が増していく野球界なのです。
似たような球場ばかりの日本に比べ、本場は「個性」もハンパない。
意外と多いサッカー専用スタジアム。
新スタジアム構想も続々。
Jリーグで使用するサッカー専用スタジアムは11。ラグビーとの球技専用を含めると30になり、J1クラブ18チーム中12チームが、専用スタジアムを使用していることになります。トラック付きの陸上競技場とは、見やすさ、臨場感の差は歴然。豊田スタジアムや吹田スタジアムからの眺めは「壮観」の一言です。初めてサッカー観戦する方には、ぜひとも専用スタジアムでの観戦をオススメします。
もちろん課題も多い日本のサッカースタジアム。屋根の重要性は雨天中止になる野球との大きな違い。俯瞰で見るサッカーに対し、高さや傾斜が足りないところもままあります。しかし最大の問題点はやはりアクセス。せっかく見やすいスタジアムでも、不便さゆえに客足が遠のくのではもったいない。プロ野球スタジアムとの一番の差とも言えるでしょう。広島、京都、鹿児島などなど、新スタジアム構想も続々。これから作られるスタジアムには、後発の強みを生かし、アクセスの良い「見るためのスタジアム」が出来ることを期待してやみません。
レアル・マドリードのホームスタジアム。8万人収容の巨大スタジアムが駅からすぐ。
スポーツの国、アメリカのスタジアム。日本のスタジアムとは「根本的」な違いを感じる。
もっとも遅れを取るのがアリーナ。
そのほとんどはただの体育館。
有明アリーナ建設に伴なうすったもんだ。高額な建設費用に多くの反対意見が寄せられたようですが、日本に誇れるようなスポーツアリーナが無いことも知ってもらいたい事実。 BリーグやVリーグが行われる会場すら、そのほとんどは普通の市民体育館。音響設備や大型ビジョンが無いところも多く、「スポーツをする」ためだけの施設がほとんど。チャレンジシステム導入も、それを映し出す画面が無いのが現状なのです。
世界の屋内スポーツを見ていて、一番差を感じるのがアリーナのレベル。パイプ椅子を並べるアリーナ席を見ると、茶色い芝でサッカーをしていた日本リーグを思い出すくらい、時代遅れを感じてしまうのです。有明アリーナ建設費があれだけ高額になるのは確かに疑問アリ。ただ屋内スポーツの発展には、観戦用のスポーツアリーナは必要不可欠。建設反対を訴えていた人達も、日本と世界との差を知れば、少しは考えが変るかも知れませんよ。
スポーツを見る場所として、無駄な「余白」は一切なし。
(画像はwikipediaより)
スポーツ庁 スタジアム・アリーナ改革指針
http://www.mext.go.jp/sports/b_menu/shingi/008_index/toushin/1379557.htm
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