しかしこれまでの解任劇と一線を画すのは、ACLでの敗退を受けてということ。恐らくACLの結果で解任されるケースは初。鹿島側のアナウンスでは「総合的な判断」とありますが、広州恒大戦敗北の翌日ということもあり、この結果が解任に繋がったのは間違いないでしょう。解任の是非は別として、鹿島が本気でACLを取りに行った証拠でもあります。
今まではどうにも「本気度」が感じられなかったJクラブのACLへの姿勢。注目度は低く、過密日程に半ば罰ゲームのようにも感じられるこの大会。それでも世界へと繋がる唯一の道ですが、2008年以降日本のクラブは決勝の舞台にすら上がれていません。しかし「今年は少し違うぞ」と感じさせるACLへの対応。
浦和や鹿島の積極補強はもちろんACLへの対策でしょうし、リーグ戦でのターンオーバーもACLを見据えてのもの。Jリーグ側からも、日程や待遇などでも優遇されるようになりました。
なぜ今年のACLへの意気込みが変ったか。それはもちろん昨年のCWCでの鹿島の活躍があったからこそ。ヨーロッパ王者レアル・マドリードをあと一歩まで追い詰めたあの激闘は、日本のみならず世界中でもニュースになったほど。「鹿島のようになりたい」と日本のクラブだけでなく、アジアのクラブも刺激を受けたことでしょう。
CWCへの唯一の道がACL。そのACLの価値を高めたのが他でもない石井監督。世界で活躍する選手は増えましたが、世界で活躍した日本人監督はごくわずか。CWCでの功績で、石井監督の格付けは一気にランクアップしました。
ほどんどが国内で指揮をとる日本人監督にとって、タイトルの重要度は「CWC」>「ACL」>「Jリーグ」となるでしょう。しかしACLの価値が上がったために、その石井監督自身が解任されてしまうとはなんとも皮肉な話。
しかしひょんなことから、世界と戦った数少ない日本人監督がフリーになりました。CWCの直後には「日本代表と鹿島はどっちが強い?」なんて話題が出るほどサッカーの質も良し。他のJクラブも放っておかないでしょうが、一躍東京オリンピックの監督候補にも? そんなことになったら、一番損をするのが鹿島なのかもしれませんが。
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