J1クラブで「球技専用スタジアム」を利用しているのは、20クラブ中14クラブと意外と多い。それだけサッカースタジアムの「見やすさ」や、「臨場感」に慣れているファンも多くなっていることでしょう。逆にそういう人達にとって、陸上競技場でのサッカー観戦の「見にくさ」「臨場感の乏しさ」は一段と残念に感じてしまうもの。
2002年日韓ワールドカップでは10会場のうち6会場。2019年のラグビーワールドカップでは、12会場のうち5会場が陸上競技場で行われました。前回大会のロシアワールドカップが全て「サッカー専用スタジアム」で行われたことと比較すると、あまりに寂しい日本のスタジアム環境。サッカースタジアム後進国とも言えるでしょう。
だからといって、陸上競技場が必要ないというわけではない。「陸上」を見るためのスタジアムが陸上競技場。オリンピックや世界陸上など、日本で見られるならこれほど嬉しいことはありません。しかし、大事なのは日常のバランス。何万人を集客する陸上の大会が、毎週のように行われているのであれば問題ないわけですが、現実としてはJリーグ会場として利用されているのがほとんど。
平面で見る陸上に対し、俯瞰で見るサッカー。陸上トラックがある以上は、どうしてもピッチまでの距離は遠くなり、サッカー観戦の見やすさや臨場感は半減。サッカー専用スタジアムよりサッカーが見やすい陸上競技場は、存在しないと断言できます。ラグビーのプロリーグ化や、サッカー女子のWEリーグが発足し、ますます球技専用スタジアムの重要性も増しているのです。
その一方で、陸上競技場でもサッカーが見やすくなるような、工夫がされているスタジアムも増えて来ました。もちろん「それなりに」という言葉は付きますが、陸上トラック部分にアリーナ席を作るなど、クラブによってアイデアも見られるように。そんな陸上競技場ながら、サッカーも見やすいスタジアムベスト10を、勝手に選んでみました。完全に個人の独断と偏見によるものですので、ご容赦ください。
第10位 えがお健康スタジアム
名称:熊本県民総合運動公園陸上競技場
収容:32,000人
ラグビーワールドカップ会場にもなった陸上競技場。巨大な一層式のスタンドは、傾斜もあって見やすさもまずまず。大きな屋根も付いてありがたいですが、32000人のキャパシティはJリーグでは持て余し気味。
第9位 トランスコスモススタジアム長崎
名称:長崎県立総合運動公園陸上競技場
収容:20,000人
全面屋根付き二層式タイプのスタジアム。1階席では陸上競技場ならではの遠さを感じますが、2階席からの眺めは上々。2万クラスとサイズ的にもJリーグにぴったりで、陸上・サッカー、どちらにも有効活用されています。
第8位 神戸ユニバー記念競技場
名称:神戸総合運動公園陸上競技場
収容:45,000人
45000人を収容可能な巨大なスタジアムで、日本代表戦も行われています。全体がすり鉢の形状で、旧国立競技場にも似た観戦環境。もちろんサッカー観戦するなら、上段の席ほど見やすくなっています。
第7位 ゼットエーオリプリスタジアム
名称:市原緑地運動公園臨海競技場
収容:14,051人
何かと評判の悪かったスタジアムですが、意外と見やすさは優秀。特にバックスタンドの2階席は、サッカースタジアム並の近さを感じるほど。しかし再びこのスタジアムで、Jリーグが開催されることはないかもしれませんが。
第6位 エコパスタジアム
名称:静岡県小笠山総合運動公園スタジアム
収容:50,889人
サッカー、ラグビーの2大ワールドカップ会場になったスタジアム。2階席はもちろん、1階席にも傾斜が付いている数少ない陸上競技場。全面屋根付きで観戦環境も文句なし。これだけ立派なスタジアムが、持て余し気味なのがもったいない。
第5位 昭和電工ドーム大分
名称:大分スポーツ公園総合競技場
収容:40,000人
こちらも2大ワールドカップ会場になった、九州最大のスタジアム。上層階からの眺めは、陸上トラックもそれほど気にならないくらいの見やすさ。ドームタイプで天気の心配もなし。しかしアクセス面では車オンリーと難あり。
第4位 カンセキスタジアムとちぎ
名称:栃木県総合運動公園陸上競技場
収容:25,244人
2020年にオープンしたばかりの陸上競技場。最新式だけあって、設備や環境もピカピカの快適空間。二層式の2階席は、35度という傾斜が付けられていて、サッカーでも見やすいように設計されています。
第3位 ヤンマースタジアム長居
名称:長居陸上競技場
収容:45,000人
日韓ワールドカップ会場にもなった、西日本を代表する陸上競技場。全体がすり鉢状の巨大な一層式のスタンドになっていて、上段へ行くほど俯瞰でサッカー観戦を楽しめます。駅からすぐのアクセスの良さもありがたい。
第2位 デンカビッグスワンスタジアム
名称:新潟スタジアム
収容:42,300人
快適性と見やすさを両立したスタジアムで、日韓ワールドカップ会場にもなりました。傾斜のある上層階からの眺めは、陸上競技場ではトップクラス。それでも「それなりに」という言葉が付いて、臨場感では西が丘サッカー場にも及ばない。
第1位 国立競技場
名称:国立競技場
収容:68,000人
日本のナショナルスタジアム、新国立競技場。最上階は34度というサッカースタジアム並の急傾斜を体感。その一方で1階席の傾斜は緩く、前方の席はほぼピッチレベルの眺めでサッカー観戦には不向き。陸上を見るなら1階席、サッカーを見るなら3階席と、使い分けるのが良いのかも。
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