東京オリンピック名勝負 ベスト5

オリンピックを自国開催する意義とは何か? それは「スポーツを観戦する文化」の発揚だと思っている。日本人は「オリンピック好き」と言われているが、正確には「お祭り好き」と言った方が正しいだろう。大会期間中は大いに盛り上がるものの、祭りが終われば水が引くように離れていく。日常的に「スポーツを見る」という文化の点では後進国のように見える。


スタジアムが満員になるのは一部のメジャースポーツだけ。オリンピック種目になっている競技でさえ、普段は閑古鳥が鳴くような中で試合が行われているのも珍しくない。そんな多くのマイナースポーツにとって、オリンピックは大観衆の前でお披露目できる数少ない大会なのだ。


北京五輪でのソフトボール金メダル。平昌五輪でのカーリングの銅メダル。マイナースポーツでも結果を残すことで、一躍ブームとなって、その競技の人気と知名度は急上昇。自分の成績と同様に、その競技自体の運命も背負いながら戦っているマイナースポーツの選手たち。


しかしながらブームは必ず終わるもの。宮間選手の「ブームを文化にしたい」という言葉が大きくクローズアップされたことがありましたが、残念ながらこの国ではまだまだ実現できているとは言えない。「結果が全て」という言葉が幅を利かせ、メダルの数に一喜一憂。その結果、「勝てばフィーバー、負ければ衰退」を繰り返してしているだけの日本のスポーツ文化。


そんな中で決まった自国開催の東京オリンピック。テレビ観戦ではなく、実際にスタジアムに足を運んで「観戦」出来るという一生に一度の機会。「オリンピック好き」から「スポーツ好き」へ。日常的にスポーツ観戦する文化が根付き、結果だけに左右されず、多くの観客で埋まる競技が増えるのではないか。そんなことを期待していただけに、「無観客開催」となってしまったことはただただ残念無念。


それでも選手達は連日素晴らしいプレーを見せてくれました。世の中の喧騒を忘れるくらい夢中にされてくれ、試合後のインタビューで必ず聞かれる「感謝」の言葉。感謝したいのはこちらの方。このブログも「東京オリンピックまで」と決めて続けてきましたが、集大成を飾るに相応しい試合やプレーの連続。多くの困難が伴ったものの、あらためてスポーツの楽しさ、素晴らしを再確認させてくれました。


自国開催のオリンピックを経験出来た世代は、後世にその様子を伝える役目もある。そしてこの困難だったオリンピックが契機となって、普段から様々なスポーツを「観戦する文化」が成熟して行くことを、期待してやまないのです。



第5位(バレーボール)

大会:バレーボール男子 予選ラウンド

結果:日本 3-2 イラン

メダルだけが全てではない。その競技の立ち位置によって、順位の価値は変わる。白熱の攻防を制した日本は、29年ぶりの決勝トーナメント進出。胸を張れるベスト8だ。




第4位(ソフトボール)

大会:ソフトボール 決勝

結果:日本 2-0 アメリカ

13年ぶりのオリンピック決勝は、やはり永遠のライバルアメリカ。両チームとも守備でのビッグプレーが飛び出す好ゲームを締めたのは、北京五輪と同じくやっぱり上野選手。




第3位(柔道)

大会:柔道女子52kg級・男子66kg級 決勝

結果:阿部一二三・阿部詩 兄妹金メダル

兄妹が揃って同種目、同日にオリンピックの舞台に立つこと自体信じられないですが、二人揃って金メダルという、マンガにもなりそうなストーリー。




第2位(卓球)

大会:卓球混合ダブルス 決勝

結果:水谷隼・伊藤美誠 4-3 許シン・劉詩ブン

卓球王国中国を破った価値ある金メダル。2セット連取されるピンチからの大逆転劇。シングルでも銅メダルを取った伊藤選手は、今大会前半の主役となった。




第1位(バスケットボール)

大会:バスケットボール女子 準々決勝

結果:日本 86-85 ベルギー

残り16秒での劇的逆転劇。史上初の準決勝進出を決め、日本バスケ界初の銀メダル獲得に繋がった試合。小柄な日本の選手達が、大きな外国人選手達をスピードやテクニックで翻弄する姿は痛快そのもの。