なでしこジャパン vs オランダ

大会:FIFA女子ワールドカップフランス2019

結果:日本 1-2 オランダ

場所:テレビ観戦


4年前、ベスト16の相手がオランダに決まり、「ラッキー」と思った記憶がありますが、今回はとてもそう思えないほど両国の力関係は逆転。そんな相手をリスペクトする形で、慎重な試合の入りの日本。ここに来てようやく守備でも「組織力」が見られるようになり、連動してオランダのパスコースを封鎖。ロングボールを入れるしかないオランダの攻撃は怖さを感じず。


しかし、17分にコーナーキックから失点。それでも日本は慌てることなく、ゴールキーパーから繋ぐサッカーを展開。見ている側はヒヤヒヤしましたが、20分に岩渕選手→長谷川選手→菅澤選手と流れる攻撃。43分には杉田選手→菅澤選手→岩渕選手→長谷川選手と、複数人が絡む連携で同点。ようやく高倉監督の目指す、「コンビネーションで崩す得点」を見ることが出来ました。


後半に入っても日本ペースでしたが、交代カードで先手を打つのはオランダ。右サイドに投入したベーレンスタイン選手の突破によって、最後のPKにも繋がることに。一方の日本は籾木選手の投入こそ功を奏しましたが、カード1枚を残し、後手に回った感は否めず。選手達は素晴らしいプレーを見せてくれましたが、ベンチワークで勝たせることが出来ないのは、男子も含めて日本サッカーの課題のように思えるのです。


しかしながら、優勝する以外、必ずどこかで負けるのがワールドカップ。その大会の終わり方、負け方としては悪くはなかった日本。ベスト16ながら、「美しく散った」とも言えるでしょう。


しかし「よく頑張った。次はオリンピックだ」と、すぐには切り替えずに、これまでの高倉ジャパンの検証は必ずしてもらいたい。この3年間、格上相手には一度も勝てていないのですから、ベスト16という成績は妥当と言えば妥当。負けるべくして負けたとも言えるのです。


側から見れば、ツッコミどころ満載だった3年間。大会直前までチーム作りを行わず、選手選考重視。その時間をかけて選んだ選手が、多くの怪我人と初招集選手。ベレーザからは9人の選手が選ばれましたが、やってるサッカーはベレーザとは別物。高倉監督は信念を持って行っているでしょうが、結果が出なかった以上は「失敗」と言わざるをえません。


これだけ矛盾だらけの高倉ジャパンが3年間続いていたのは、ひとえに「求める声」の少なさが要因のように感じます。森保男子代表監督に対するプレッシャーとは比べるまでもなく、佐々木前監督よりも厳しい目が向けられることがなくなってしまった現在のなでしこジャパン。


注目度(人気)と強さが比例する関係にあるのはこのためですが、あまりに少なくなってしまった高倉ジャパンへの「疑問」。なぜチーム作りをしてこなかったのか? なぜリーグ得点王を選ばなかったのか? なぜ選手任せのサッカーなのか? それもこれも大会が始まってから噴出しても手遅れなのです。


求められるのは「日常」からの声。それは日本代表だけではなく、なでしこリーグにも向けられるべき。なぜ欧米の外国人選手が一人もいないのか? なぜ海外挑戦する選手が減っているのか? これで本当に世界と戦えるのか?


ワールドカップ「1勝」という結果は、変わるチャンスでもあり決断するチャンス。高倉監督の言う「チームは短期間で変われる」ならば、今からの監督交代でもオリンピックまでは時間は十分。高倉ジャパンの3年間とは何だったのか? 協会にはしっかりとした検証をお願いしたい。


試合採点

ハッスル度 7

見応え度 7

名勝負度 6.5

満足度 6.5

要検証度 10