大会:FIFAワールドカップアジア第3代表決定戦1997
結果:日本 3-2 イラン
場所:ネット観戦
テレビ視聴率47.9%。国民の半分が目撃した「ジョホールバルの歓喜」。この試合を語る上で、どうしても外せないのがこの4年前の「ドーハの悲劇」。当時の日本にとっては、ワールドカップは夢の舞台。その初めて夢が叶うかもしれない数秒前、イラクのヘディングシュートが放物線を描いて日本ゴールへ。
「天国から地獄」とはこのこと。これ以上の衝撃は、スポーツはもちろん、ドラマや映画ですら経験したことはなし。テレビの実況アナウンサーが、しばらく言葉が出てこなかったほどの出来事。当時高校生だった自分も心底落ち込んだものだし、翌日のクラス全体の雰囲気すら暗かったことを覚えている。
日本中が悲しみに暮れた「ドーハの悲劇」。しかしこの出来事によって、日本人はサッカーに目覚めた。日本サッカーの夜明け。とんでもない衝撃はビッグバンとなり、日本サッカーはインフレーションして行ったのではないでしょうか。事実ここからの4年間は、日本サッカー界が最高に盛り上がった4年間。今でも日本代表の人気は根強いが、「熱」の量では当時と今では比べ物にならない。
それに輪をかけるように、アジア最終予選がヒートアップ。ホーム国立で宿敵韓国に逆転負けを許すと、そこから日本は泥沼のドタバタ劇。加茂監督の解任や、サポーターによるバス囲み事件。とても褒められた行動ではないが、サポーターも選手と同じくらい本気で「ワールドカップ」を目指していた時代。
そんな崖っぷちからたどり着いた「第3代表決定戦」。4年間の壮大な「大河ドラマ」の最終回。中立地のマレーシアが日本人サポーターで超満員。もうこんなシチュエーションは、今後一生涯訪れないかもしれませんね。
その最終回を飾るに相応しく、試合自体もドラマチック。試合前から「アジジ作戦」など情報戦でも大盛り上がり。中山選手のゴールで先制するも、イランもアジジ・ダエイ選手の両エースがしっかり決めてくる役者ぶり。後半ツートップ2枚変えの岡田監督の采配も光りますが、交代するカズ選手の「オレ?」と驚くシーンも印象深い。
岡野選手のゴールデンゴールは、これからも語り継がれていくシーンでしょうが、それと同じくらい価値があった城選手の同点ゴール。一人無双状態だった中田選手からのドンピシャクロス。後半31分という時間帯で生まれた日本を救ったゴールに、当時テレビの前で大興奮したのが蘇りましたよ。
壮大な大河ドラマのエンディングは、これ以上ないハッピーエンド。どんな国でもワールドカップの「初出場」の権利を得られるのは1度だけ。そのたった1度のチャンスに、これだけドラマチックな展開だった国が他にあるでしょうか? リアルタイムでこの「歓喜」を体験できた世代はラッキーの一言。もちろん、この後に生まれた23歳以下の世代の人達には、ワールドカップ「初優勝」の歓喜は残されていますけどね。「ドーハの悲劇」があったから、この「ジョホールバルの歓喜」があった。改めてそう思う試合観戦後なのです。
試合採点
ハッスル度 9
見応え度 8
名勝負度 8
満足度 10
歓喜度 10
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