大会:アテネオリンピックアジア予選2004
結果:日本 3-0 北朝鮮
場所:ネット観戦
男子が「ドーハの悲劇」なら、女子はこの「国立の奇跡」。もちろんそれ以前から応援されていたファンも多いでしょうが、世間一般に広く「サッカー女子代表」の存在を認知されたのは、この試合からではないでしょうか。僕自身もその一人で、この日からサッカーを見る量が単純に2倍に増えたわけですから、思い出深いエポックメイキングな試合だったわけです。
そんな「国立の奇跡」が16年ぶりにJFATVでネット配信。当時の女子代表はシドニー五輪を逃して暗黒時代。背水の陣で臨むアテネ五輪出場権の相手は、今まで一度も勝てていない最強の北朝鮮。これだけのシチュエーションが揃えば注目度も俄然アップ。国立競技場には3万人以上が訪れ、地上波テレビ中継でも高視聴率だったことを記憶しています。
試合の入り。澤選手がいきなり強烈なショルダータックルで相手を吹っ飛ばし、選手全員のスイッチが入ったというのは有名なエピソード。テーピングぐるぐるで、痛み止めを打っての出場にもかかわらず、試合終盤には強烈なシュートを放つなど、いつもいつもこの選手には驚かされるばかり。そもそも靭帯損傷で試合に出てるなんて、今では信じられないですけどね。
11分、まだ「ボンバー」ではない荒川選手のゴールで先制。さすがの北朝鮮も、このスタジアムの雰囲気に飲まれ気味。前半終了間際にもオウンゴールを献上し、苦しい展開。一方の日本は「堅守速攻」と、いたってシンプル。ボールを奪うと一気にロングボールで前線の選手へのパス。現在のなでしこジャパンとは180度違うサッカーなのですが、こういう「決まり事」があった方が選手に迷いはなし。ただもう少し繋いでも良かったとは思いましたが、64分に大谷選手が3点目を決めて勝負アリ。
サッカー自体はシンプルでも、選手の「キャラ」はしっかり立っていました。右サイドをブチ抜いた川上選手。体を張ってゴールを守る山郷選手や磯崎選手。途中投入の丸山選手のキレッキレぶりには驚かされましたよ。何より選手全員から伝わってくる「崖っぷち感」。これが今の代表選手達との、一番の違いなのかもしれません。
そして改めて感じられた、スタジアムの「熱気」。残念ながらこの時以上の熱量の試合は、2011年以降でもなかったでしょう。なぜこの試合が3万人以上を集め、その観衆の心を掴んだのか。これからのなでしこジャパンや、新たにできるプロリーグにとっても、ヒントになることは多いはず。この試合のスタジアムの雰囲気を超えるのは、東京オリンピックになるか。それとも日本開催のワールドカップになるのか。そろそろこれを超える試合を、国内で見せてもらわないと困りますしね。
この試合は6月30日までJFATVで視聴可能です。
試合採点
ハッスル度 8
見応え度 7
名勝負度 6.5
満足度 8
ひたむき度 10
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