大会:東京オリンピック2020 準々決勝
結果:日本 1-3 スウェーデン
場所:テレビ観戦
サッカーには不思議と「相性」というものがある。過去一度しか勝てていないアメリカよりも、勝率互角のスウェーデンははるかに戦いやすい相手。それでも今の日本よりは格上であることは間違いないわけですから、ジャイアントキリングを達成するには様々なプラスアルファが必要な試合。
そんな中で日本の先発はスタンダードな組み合わせ。特に奇をてらうわけでもく、おそらく現在高倉監督が考えるベストメンバー。しかし、その先発メンバーよりも気になったのが「ベンチメンバー」だ。チリ戦で流れを変えた木下選手や、FWの菅澤選手を外し、ジョーカー的なカードは遠藤選手の一枚。コンディションの面からかは不明ですが、どういうプランを持って入ったのかが気になったベンチメンバー。
そうこうしているうちに、開始7分でエリクソン選手にゴールを決められてしまう強烈な先制パンチ。クロス1本上げられるだけで、日本はピンチに陥ってしまうわけですから、いかんともしがたい体格差。それにしても序盤のスウェーデンの迫力は予想以上。
簡単にクロスを上げられないためには、日本がボールを持って主導権を握ることですが、15分以降は日本も落ち着いてボールキープ。こうやってボールを保持出来るところがスウェーデンとの相性の良さですが、岩渕選手と田中選手の距離感も良く、特に長谷川選手と清水選手で右サイドを攻略。23分には長谷川選手のクロスに田中選手が合わせて同点。
PK取り消しの不運もありつつも、後半に向けて期待が持てた前半。しかし53分、再びスウェーデンにリードを許すと、68分にはPKを与えて追加点。2点のビハインドになった焦りからか、長谷川選手のポジションが中央寄りになってしまい、前半のストンロングだった右サイドも機能不全に。
危惧していた交代カードも、チームを助けることなくタイムアップ。ジャイアントキリングに必要な、選手のビッグプレー、監督の采配、そして運。全てが足りずに順当な力負け。せめてもの救いがあったすれば、最後の試合でようやく日本の武器のコンビネーションで、相手ゴールに迫れたことでしょうか。
やはりオリンピックとは4年間の積み重ね。本番になって急にチームが変わったり、強くなることはない。では日本は何を積み上げて来たのか? 日本の生命線であるパスワーク、コンビネーション、連携連動を磨いて来たのでしょうか? 多くの時間を「選考」の場につかい、継続性のないポジション変更やテストに時間を費やしてきたように見える高倉監督。
今の代表選手達は、ユース世代で輝かしい実績を残してきた「黄金世代」。「最強」と呼ばれている男子代表にも負けないくらいのタレントが揃った世代だ。かつては今の男子代表のように、「自信」に溢れてプレーしていた選手達も、結果が出なくなっていったことで、自信なさげなプレーに見えるようになってしまった。やり方次第では全く違った結果が出せたのではないかと思えるだけに、非常にもったいない思いなのだ。
だからと言って、今は高倉監督を非難するつもりはない。大会が始まってから批判が噴出しても、時すでに遅し。大事なのは4年間の間の「声」だ。ファンもマスコミも、「本当にその采配で大丈夫ですか?」「本当にその強化方法で大丈夫ですか?」と、言い続けることが必要なのだ。その声が、圧倒的に足りなかったと感じた高倉ジャパンの5年間。そのためには、「関心」を持ち続けることが、何よりも必要なのではないでしょうか。それでも世代交代を進めたのは高倉監督の功績。今は選手ともども「ごくろうさまでした」と言いたい。
試合採点
ハッスル度 6.5
見応え度 6
名勝負度 6
満足度 6
もったいない度 8
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