スポーツ名勝負 ベスト10

「名勝負」の定義とは、第三者が見ても面白い試合。なでしこジャパンがドイツの人達を魅了したように、ラグビーのエディージャパンがイギリス人の心を鷲掴みしたように、どちらの応援もしていない人達を、感動させるような試合に出会った時の幸福感。そんな試合を見たいがために、中立の立場でスタジアム観戦を続けています。


しかしながら、「結果が全て」「勝たなければ意味はない」とは、日本でよく聞かれるフレーズ。しかしそれは、プレーする側の言葉であって、観戦する側もそうなってしまってはもったいない。「結果が全て」の勝利至上主義が、「勝てばフィーバー、負ければ衰退」を繰り返えさせている日本のスポーツ界。勝ち負けだけなら、ネットニュースを見るだけで十分。せっかくスタジアムに訪れたなら、試合内容に目を凝らし、勝っても負けても、映画を見た後のように「あーだこーだ」と語り、楽しむ。それこそが、結果に左右されない成熟したスポーツ文化に繋がっていくのではないでしょうか。


もちろん、映画と同じで当たりの試合もあれば、ハズレの試合に出会うこともしばしば。だからこそ「不朽の名作」と呼ばれるような、真の名勝負に出会った時の喜びもひとしおなのかもしれません。今回は今まで見た名勝負の中でも、特に印象に残ってるスポーツ名勝負ベスト10を、勝手にご紹介したいと思います。完全に個人の独断と偏見によるものですので、ご容赦ください。



第10位(サッカー)

大会:FIFAワールドカップカタール2022

結果:日本 2-1 ドイツ

ワールドカップ初戦で優勝経験4回の強豪ドイツをジャアントキリング。終始劣勢だった日本が、少ないチャンスを決め切り逆転勝利。後半次々と攻撃的な采配を見せた森保監督は、オランダの名将ヒディンク監督を彷彿。日本が初めて監督の「采配」で勝った試合としても画期的。




第9位(野球)

大会:ワールド・ベースボール・クラシック2023

結果:日本 3-2 アメリカ

WBC決勝でアメリカと対戦という、これ以上ない最高の舞台。野球最高峰と呼ぶに相応しい名勝負で、日本、アリメカともにしっかりと役者が活躍。特に9回最後の大谷選手とトラウト選手との対決は、多くの人が釘付けになったことでしょう。




第8位(ラグビー)

大会:ラグビーワールドカップジャパン2019

結果:ジャパン 28-21 スコットランド

日本開催のワールドカップで、史上初の決勝進出を決めた一戦。歴史を塗り替える瞬間を見届けようと、スタジアムの熱狂の凄かったこと。自分自身もその場に居合わせることができ、この上ない幸福感を味わえた試合。




第7位(バスケットボール)

大会:FIBAバスケットボールワールドカップ2023

結果:日本 98-88 フィンランド

沖縄開催のワールドカップ。各上フィンランドに最大18点差まで開かれる苦しい展開も、終盤に猛攻を見せて大逆転劇。過去1度も勝てていなかった欧州勢から初勝利と、歴史を乗り越える試合はいつも劇的。バスケットブームのきっかけともなる試合になりました。




第6位(サッカー)

大会:FIFAワールドカップアジア地区最終予選1994

結果:日本 2-2 イラク

いわゆるドーハの悲劇。日本中が悲しみに暮れた一戦は、4年後の歓喜へと繋がり、その後の日本サッカー躍進への大きなの原動力となりました。勝負の厳しさ、怖さ、そして面白さ。この試合がサッカーの全てを教えてくれました。日本サッカービッグバン的試合。




第5位(サッカー)

大会:FIFAワールドカップアジア第3代表決定戦1997

結果:日本 3-2 イラン

ドーハの悲劇があったから、このジョホールバルの歓喜を味わえた。日本サッカーが最高に盛り上がった4年間。今でも代表人気は根強いが、「熱」の量は当時と今では比べ物にならない。ワールドカップ「初出場」という、日本が今後二度と訪れることのない最高の瞬間。




第4位(サッカー)

大会:FIFA女子ワールドカップドイツ2011

結果:なでしこジャパン 2-2(PK3-1) アメリカ

震災直後の日本。お店に商品が足りず、電気の使用は制限、お祭りや花火大会は中止になるなど、本当に沈んでいた日本に、明るさを取り戻してくれた「なでしこジャパン」。スポーツの持つ「力」「魅力」「素晴らしさ」を、最高の形で見せてくれました。




第3位(野球)

大会:ワールド・ベースボール・クラシック2009

結果:日本 5-3 韓国

日本と韓国の世界一の座を賭けた、死力を尽くした一戦。固唾を呑んで見つめたイチロー選手の打席。舞台、試合展開、役者にいたるまで、これ以上ないくらい野球の面白さが詰まった決勝戦でした。




第2位(ラグビー)

大会:ラグビーワールドカップイングランド2015

結果:ジャパン 34-32 南アフリカ

日本スポーツが今まで起こしてきた番狂わせは、耐えて忍んで一瞬のチャンスを物にしたものでした。真っ向勝負で互角に渡りあっての大金星に、今までにない最高の価値があるのです。勝利のみを追い求めたスクラムの選択は、後世まで語り継がれそうな名シーンでした。




第1位(野球)

大会:ワールド・ベースボール・クラシック2023

結果:日本 6-5 メキシコ

WBC準決勝の舞台。メキシコ優勢の試合展開ながら終盤での大逆転劇。大会中は苦しんでいた日本の若き四番、村上選手のサヨナラタイムリーというのもドラマッチック。日本人だけでなく、世界中の野球ファンを魅了した試合として記憶に残っていくことでしょう。

※2023年12月更新