しかしアジア予選は厳しい戦いです。日本を含め、FIFAランク20位以内に5カ国が入り、カナダワールドカップでも4カ国がベスト16以上と、男子でいうヨーロッパや南米予選並みの難易度。いつかは負けることがあっても不思議ではないと思っていましたが、世間一般ではそう思ってもらえない難しさもあります。
それでも2011年以降の好成績を支えていた、主力選手達のパフォーマンス低下は感じるようになってしまいました。今大会も相手に負けたというよりも、自滅したと言っても過言ではないでしょう。カナダワールドカップでもその兆候は表れていましたが、佐々木監督のチームマネジメントで、何とか決勝まで辿り着けたという印象でした。
そのワールドカップで活躍した、宇津木選手を怪我で欠いたことや、海堀選手の引退も大きく響きました。特にゴールキーパーの新たな発掘は、今後の最重要課題となりそうです。どんな名選手や名チームでも、必ず衰える時はやってきます。これまで輝かしい成績を残してきたチームゆえ、常に結果を求められるようになったことも、世代交代が遅れた原因の一つかもしれません。
それでも今大会の岩渕選手や横山選手の活躍を見ると、無理をしてでも若手に経験させていく必要性も痛感しました。これまで何度も歓喜や感動を与えてくれた伝説のチームの終焉。まさに一時代が終わってしまう寂しさを実感していますが、「なでしこジャパン」がこれで終わるわけではありません。
幸い下の世代も優秀な選手は多く、11月に行われるU-20ワールドカップでは、優勝も期待されるほどの黄金世代。若い世代の選手達には、今まで以上に期待して見守りたいところです。
さて、巷ではこの敗戦で女子サッカー界は再び「冬の時代」になってしまうのではとささやかれているようです。1999年にはシドニーオリンピックの出場権を逃して、国内の関心が低下した過去がありました。しかし、オリンピックが唯一のテレビ中継の場だった当時とでは、状況も認知度も比較になりません。
女子ワールドカップのステータスも上がり、東京オリンピックも控えるなど、多少の落ち込みはあるでしょうが、個人的にはそれほどの心配はしていません。そもそも「冬の時代」にしてしまうのは、選手ではなく「見る側」の問題。今まで通り「勝てば見る」「負ければ去る」を繰り返して行くのでしょうか。
勝敗が背中合わせなのがスポーツ観戦の醍醐味。負けた時の悔しさが大きいほど、勝利の喜びもひとしおなのです。「結果が全て」なのは選手。見る側はとことん「内容」に目を凝らすべきではないでしょうか。
やはり選手達は、背負っている物が大きすぎます。女子サッカーのみならず、負ければ「去られてしまう」という恐怖と戦うアマチュアスポーツの選手達。その恐怖心を取り除けるのは、勝敗に関係なく関心を持ち続ける「スポーツ観戦文化」だと信じています。選手達が競技にだけ集中できるように、一人でも多くの人が、日頃からスタジムへ足を運んで欲しいですね。
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